2001年秋期技術科目のレビュー(らしきもの)
- 第1問
- (1)(ア)A
- CMI(Coded Mark Inversion)方式は、"0"にマイナスからプラスへの極性変換を、また"1"にプラス極性の状態とマイナス極性の状態を交互に対応させている。具体的には、信号間隔中の「-E -> +E」の状態を"0"とし、「-E -> -E」または「+E -> +E」の変化しない状態を"1"として判別する方法である。
- (2)(イ)B
- OSI参照モデルによるネットワークアーキテクチャの階層構成のうち、第3層はネットワークそうと呼ばれ、どのような通信路で相手にデータを送るか指定するルーチング(経路選択)機能や、各ノード間でのデータの引き渡し(データ中継)機能を有する。
- (3)(ウ)B
- ATM(Asymchronous Transfer Mode:非同期転送モード)では、全ての情報をセルという一定の単位に分割して伝送される。セルはあて先などの情報を含むヘッダとユーザデータが入るデータ部で構成され、いわゆるパケットの構成と同じであるが、ATMのセルでは、ユーザデータの大きさに関わらず、ヘッダ部5オクテット、データ部48オクテットの合計53オクテットに固定されている。また、セルの大きさが固定されているので、主として文字情報を扱う電子メールのようにデータ量が少量の通信と動画像のようにデータ量が大量の通信を扱う場合では、セルの送信する頻度を考えることにより効率的な転送を実現している。ATMは、このようにセルを送信するタイミングがメディアタイプに対して変化していることから非同期転送モードと言われている。
- (4)(エ)A
- コンピュータ通信には、コネクション形とコネクションレス形の2種類の方式がある。コネクション形は、データを送るときあらかじめ、相手との間で回線を設定し、またデータを送受する際には送達確認を行う。コネクション形は安定した通信が可能となるが、回線を設定するまでの手続きや再送制御などの処理が発生する。一方、コネクションレス形は、相手との間には回線を設定せずデータに相手のあて先情報(アドレス)をつけて送り出すだけの方式であり、データ送受においても送達確認は行われない。コネクションレス形は、プロトコルの手続きが簡単であるため、高速通信が可能となる。X.25によるパケット通信は、呼制御パケットにより通信路の設定を行ってからデータパケットが送受され、またデータパケットの送達確認も行われることから、PVC(相手固定クラスの回線)もVC(相手選択クラスの回線)もコネクション形の通信形態となる。
- (5)(オ)@
- 出回線数n、呼量aアーラン、運ばれた呼量acアーランとするとき、呼損率(B)=(加わった呼量-運ばれた呼量)/(加わった呼量)=(a-ac)/a --- @。出回線能率η=(運ばれた呼量)/(出回線数)=ac)/n --- A。@から、運ばれた呼量ac=a(1-B)。よってAは、η=a(1-B)/nとも表される。
- 第2問
- (1)(ア)@
- 講習データパケット交換網のフロー制御には、ウィンドウ制御方式と契約バッファ(バッファ制御)方式がある。ウィンドウ制御方式は、論理チャネルごとに連続して送ることのできるパケット数(ウィンドウサイズ)を定め、網に入力できるパケット数を制限する方式である。この方式では、受信側から送信を許可する支持がくるまでは、送信端末は次のパケットを送ることができない。一方、契約バッファ方式は、端末ごとに連続して受信可能なパケットを一定以下に規制する方式である。この方式では、受信パケット数が契約バッファ数を超えた場合は、送信端末に対して入力規制パケット(RNRパケット)を送り、送信を止めさせる。
- (2)(イ)C
- 物理的なインタフェース速度が1,544dbit/sのISDN一時群速度ユーザ・網インタフェースの利用形態としては、同一回線上にBチャネルとDチャネルを収容する23B+Dと、BチャネルとDチャネルを別回線にする24B/Dの2つのタイプがあり、最大1,536dbit/sの情報伝送ができる。この場合、Dチャネルの速度はBチャネルと同じ64dbit/sである。
- (3)(ウ)D
- パケット交換網では、パケット形態端末相互間またはパケット形態端末-非パケット形態端末間に論理チャネルの設定を行うことが交換処理の基本となる。このように網を介して端末-端末間に論理的なリンクを設定するパケット交換方式をバーチャルコール(VC)という。パケット交換では、1つの物理回線上で同時に複数の端末と通信が可能であるが、その複数の通信相手の区別はパケットヘッダ内の論理チャネルで行っている。具体的には、網は各端末それぞれに対応したメモリを持っている。CR、CA各パケットのLCGN(論理チャネルグループ番号)、LCN(論理チャネル)等がリンクメモリに書き込まれ論理チャネルが設定され、この論理チャネルを通じてパケットが転送される。
- (4)(エ)A
- 公衆データパケット交換網の閉域ユーザグループ機能は、契約者が決定するグループ内のデータ端末装置(DTE)相互間のみでVCを行うサービスであり、セキュリティの確保に有効である。論理チャネルごとに通信相手が固定されないので、通信相手が増えても論理チャネルを必ずしも増やす必要はない。
- (5)(オ)C
- トランスポート層で使用されている代表的なプロトコルとしてTCP(Transmission Control Protocol)とUDP(User Datagram Protocol)がある。TCPは誤り制御や再送制御により相手側と送達確認を行いながら情報を転送するプロトコルであるが、UDPは相手側のアプリケーションを指定するのみで、相手側と情報の送達確認をせずに情報を転送するものである。
- 第3問
- (1)(ア)B
- HDLC手順では、レイヤ3のパケットレイヤ以上の情報は情報(I)フレームで転送され、パケットレイヤの情報は、このIフレームの情報部に収容される。
- (2)(イ)@
- HDLC手順における手順クラスには、通信する二つの局が対等関係を持って手順制御を実行する平衡型手順クラスと、通信する二つの局が主従関係を持つ不平衡型手順クラスがある。平衡型には非同期平衡モードがあり、不平衡型には正規応答モードと非同期応答モードがある。
- (3)(ウ)@
- ISDN基本ユーザ・網インタフェースレイヤ2のフレームには、情報フレーム、監視フレーム、非番号制フレームがある。情報フレームは、フレーム内に必ず情報フィールドを持つ。監視フレームは、情報フレームの受信確認、再送要求、一時送信休止要求など、データリンクの監視制御を行うために使用される。監視フレームでは、情報フィールドの転送は行われない。非番号フレームは、データリンクのモード設定や切断、異常状態の報告などデータリンク制御を行うために使用される。また、送達確認を必要としない非確認形情報を転送する場合にも使われる。各フレームは基本的にはHDLC手順のフレーム構成に準拠しており、フラグシーケンス、アドレスフィールド、制御フィールド、フレーム検査シーケンスは全てもっている。
- (4)(エ)A
- ISDNレイヤ2のLAPDでは、同時に複数の端末に同じ情報を転送することを可能としている。バス上の全ての端末に着信のための呼設定メッセージを伝達する場合などは、情報の転送崎が複数になる情報転送形式(ポイント・ツー・マルチポイントリンク)が用いられる。
- (5)(オ)@
- ISDN基本ユーザ・網インタフェースにおいて、Dチャネルは、本来、呼制御信号を送るためのチャネルであるが、制御信号を送信していない時間を利用してパケットを伝送することができる。Bチャネルでのプロトコルは、レイヤ2ではLAPBが適用される。
- 第4問
- (1)(ア)C
- パケット形態端末相互間通信の接続シーケンスでは、一連のパケットの送受の後、最後に網が発信端末に対してCCパケットを送出することで呼の設定が完了し、両端末間の通信が可能な状態であるデータ転送フェーズに入る。データ転送状態になると、DTパケットが両方向に転送可能となる。
- (2)(イ)A
- パケット形態端末相互間通信において、データ転送から復旧すなわち通信を終了させたい場合、発信端末または着信端末のどちらかがCQパケットをパケット交換網へ送出する。これを受けたパケット交換網は、CIパケットを相手端末へ送出する。
- (3)(ウ)A
- HDLC手順のフレームを構成する制御フィールドのうち、P/Fビット(pole/final bit)は、順序番号の確認や送信を反転する際の通知に使用する制御ビットである。
- (4)(エ)A
- ITU-T勧告X.25のパケットレイヤプロトコルにおけるパケットの種類のうち、リセット手順要パケットであるRQパケットとRIパケットの種類を示すパケットタイプ識別子は、同じ値を示す。
- (5)(オ)D
- ISDNパケットサービスでは、利用者の使用形態によりDチャネル上でパケット交換モードを設定後、BチャネルまたはDチャネルを使用してパケット通信によるデータ転送を行うことができる。
- 第5問
- (1)(ア)B
- 通信機器の接地には、感電等の危険防止を目的とした強電用接地と動作安定等を目的とした弱電用接地とがある。
- (2)(イ)C
- 公衆データ回線交換網に接続する端末装置の接続形態で、同期式Xシリーズの場合は、X.21が適用される。
- (3)(ウ)@
- TA(ターミナルアダプタ)には、物理的条件を変換する機能や、ISDNと同期の確立を行う機能などが備わっている。
- (4)(エ)@
- ISDNの基本ユーザ・網インタフェースにおけるポイント・ツー・マルチポイント配線構成には、短距離受動バスによるものと、延長受動バスによるものとの2種類がある。
- (5)(オ)D
- ISDNユーザ・網インタフェースにおいて、ISDN端末(TE1)を接続する場合はNTと直接接続する。